はじめに



文科省の統計によると、平成4年度から23年度までの20年間に、公立学校(小中高)の廃校数は6,834校に上ります。 現在も年間4、5百校が廃校となり続けており、多くの自治体にとって深刻な問題となっています。

少子化による高齢化、過疎化、産業構造の変化など様々な要因があると思われますが、統計によると、廃校数にはかなりの地域差があるようです。 私たち調査チームの地元、北海道は6,834校の廃校数のうち、約11%に上る760もの廃校を生み出しています。これは、2位の東京(389校)の約2倍となる圧倒的な数です。

地域に関わる多くの人々にとって、学校はコミュニティのシンボルであります。 他の遊休施設よりも、その有効な再活用が望まれる資源であるようです。
その活用法には、公民館や体育館などの公立施設から、企業の工場のような民間の施設利用、果ては個人の住宅まで様々な活用方法があるようですが、われわれは芸術文化による活用例に注目しました。

この分野に絞った統計はまだ国内になく、実態がわかっていません。 今のところ全体の数%に満たないものの、芸術文化による再活用法には地域の事情に即したユニークな事例が見受けられ、質、量とも伸びていく可能性がある事例だと思われます。

廃校・旧校舎の活用に関する悩みは、現代の日本社会が抱える同時代的な問題です。(国境を越える問題である可能性も秘めています。)
みなさまの協力を得て、全国初の廃校・旧校舎の芸術文化活用に関する全国MAPを完成し、新しい廃校活用法、アートスペース運営法、そして地域の問題解決にもつなげていければと思います。


平成25年4月
北海道教育大学 廃校・旧校舎芸術文化活用調査チーム 一同



参考資料